火災に遭った衣類の煤・臭い除去解説
はじめに
さて、今回からご紹介するのは、火事に遭ってススの臭い・汚れ除去を依頼されたケースで「軽傷なケース」です。合計24点のご依頼品をお預かりしましたが、いずれもススの汚れはほとんで目立たず、臭いもかすかにしかしないレベルでした。 トーア復元研究所では作業にあたり、仕上がりレベルはもちろんですが、今後のご着用も考えて、必要以上の強い薬品を使用することは避け、このようなケースには衣類にダメージを与えない弱い薬品での処理を心がけています。 これにより臭い除去された上に衣類に退色(=たいしょく。色が褪せること)や脆化(=ぜいか。 繊維の糸が細くなること)などを防ぐことが出来ます。 では、明日からそのご依頼品をご紹介いたします。
火事の臭いについて
火事に遭った衣類には、大変特徴的な「臭い」というものが付いてしまうことが多々あります。 逆に言えば、「その臭いがするものは100%火災に遭った衣類」だと分かるほどです。 詳しくはこちら。
個々のご依頼品のご説明
プリントの付いたトレーナー
こちらは胸に大きなプリント柄が付いているものでした。 幸いプリントがしっかりしていたので作業を行うことができましたが、駄目なこともあります。 詳しくはこちら。
カルバンクラインのコート
色が冷めやすい生地で作られたものでしたが、今回、弱い薬品で対応することで火事の臭い除去が可能になりました。 その詳しい理由はこちら。
ウールのベスト
こちらも弱い薬品で作業出来たので、幸い良い仕上がりに出来ました。 詳しくはこちら。
ポリエステルのジャケット
ポリエステルの衣類は火事の煤汚れ除去に置いて大変良好な仕上がりが得られやすい衣類です。 詳しくはこちら。
ウールとポリエステル混紡のジャケット
ポリエステルが混紡された、またはポリエステル100%の衣類は火事の煤汚れ除去作業において、大変良好な結果をもたらしてくれることが多いです。 こちらのジャケットもそうでした。 詳しくはこちら。
マフラー
今回は火事に遭った衣類の中でマフラーもありました。 マフラーも火事の煤汚れ除去においては大変気を遣う点が多いものです。 それについて詳しくはこちら。
化繊のジャケット
こちらは化繊だったので火事の煤汚れ除去も良好な効果が出る種類のものです。 ちなみに火事に遭った衣類とはどのような臭いがするのか? こちらで詳しく説明しています。
化繊のスラックス
上記と上下もののスラックスですので、上着と一緒に作業します。、詳しくはこちら。
ウールの背広
ウールは火事の煤の影響が出やすいものですが、今回は程度が軽かったことから弱い薬品でも良好な結果となりました。 詳しくはこちら。
煤汚れが落ちやすい織り方のウールの背広
このウールの背広は織り方が火事の煤汚れが落ちやすい織り方なので大変安心して作業することが出来ます。 詳しくはこちら。
背広の煤汚れ除去
こちらも背広です。 ちょっとここで事前のテストについて詳しく解説しましょう。 こちらをご覧ください。
綿とポリエステルのコート
こちらはいろんな金属の付属品が付いているケースでした。 詳しくはこちらをご覧ください。
綿・ポリ混紡のコート 最後の一点
こちらのコートが今回のご依頼品で最後のご紹介となります。 詳しくはこちら。
作業後の衣類を一晩干す
ではここまでご説明してきた工程を経た衣類は、一旦、一晩干すことになります。 詳しくはこちら。
各ご依頼品の出来上がり
出来上がりの状態を見る
ここからは1点1点の出来上がり具合などを中止にご説明していきます。 詳しくはこちら。
リアルファーの付いた衣類
こちらは本物の毛皮(リアルファー)ですが、こういったものも火事で被災すると煤や臭い除去の必要が生じます。 詳しくはこちら。
ウールとポリエステル混紡のスラックス
こちらはポリエステル混紡だったことで、非常に良い仕上がりとなりました。 写真付きの詳しい解説はこちら。
マフラー
今回はマフラーもご依頼品の中にありました。 詳しくはこちら。
背広の仕上げ
火事の煤汚れ除去の最後の工程はアイロン仕上げです。 特に背広は水に浸けこんでいたことで全体がシワシワになっていますが、それをアイロン技術で元に戻すことにトーア復元研究所の技術があります。 詳しくはこちら。
綿とウールのハーフコート
こちらも弱い薬品でも大変良好な仕上がりとなりました。 詳しくはこちら。
綿とポリエステルのハーフコート
こちらはシワが本来伸びにくい綿素材ですが、織り方が特徴があって、大変仕上げ性能が良く、出来上がりは新品の時のようになりました。 詳しくはこちら。
起毛素材のハーフコート
火事のスス汚れ除去工程では、起毛素材の衣類はアイロン成形が非常に手がかかります。 今回のご依頼品は問題なく仕上げ出来ましたが、時間もかかります。 詳しくはこちら。
プリントが付いたトレーナー
火事に遭った衣類の煤汚れ除去において、衣類にプリントがなされていると大変気を使います。 詳しくはこちら。
ウールのベスト
こちらのベストもキレイに仕上がりました。懸念していた背中のキュプラ地も特にテカリもなかったです。 詳しくはこちら。
再度、起毛素材の半コート
こちらも非常に気を使いながらのアイロン作業で、起毛素材を元通りにしました。 詳しくはこちら。
綿のジャケット
綿素材の衣類は火事の煤汚れ除去を行うと、最後のアイロン掛けでは相当苦労します。 特にジャケットのように本来パリッとしていなければいけないものだと、なおさらです。 詳しくはこちら。
綿のスラックス
。綿のジャケット同様、綿のスラックスも火事の煤汚れ除去の工程が終わった後のアイロン仕上げでは、シワシワを取るのが非常に手間がかかります。 詳しくはこちら。
ウールのスラックス
こちらのウールのスラックスは既出の綿のスラックスに比べて、簡単にキレイにシワが伸びます。 詳しくはこちら。
ウールのジャケット
昨日のスラックスと上下の上であるジャケットです。 こちらもアイロン作業はやりやすいです。 詳しくはこちら。
ウールのマフラー
こちらのウールのマフラーは型崩れにも強く大変良い出来上がりとなりました。 詳しくはこちら。
ルイヴィトンのネクタイ
今回、ネクタイはこれ1点だけをご依頼されました。 詳しくはこちら。
作業終了して全てを乾燥
こうして作業が済んだご依頼品は一様に一晩干して、翌日仕上げ工程へと進みます。 詳しくはこちら。
火災に遭った衣類の軽微なケースのまとめ
ここまで軽傷なケースだったご依頼品の作業についてご説明してきました。 そのまとめとしてこちらをご覧ください。