さて、ご依頼主と、今回このようにフライトジャケットのプリントが薄くなったことについて、原因を検討しました。 プリントを直した後に、今後のクリーニングなどについても考えておく必要があったからです。 ご依頼主はドライクリーニングした、とのことでした。 それもその筈で、このフライトジャケット、袖口と首回り、スソ周りにリブ編みがしてあって、その素材が「ウール」だったからです。 フライトジャケットの身頃はナイロンなので、出来れば水洗いした方がプリントは落ちにくいのですが、ドライクリーニングをしてしまうと、どうしてもプリントの顔料も一緒に落ちてしまって、今回のように薄くなってしまうのです。 これについて、製造元やその系列会社にも相談しましたが、やはりドライクリーニングを推奨する、ということでした。
となれば、確実な方法は、クリーニングの度にリブ部分を取り外して水洗いし、その後また縫い付ける、というやり方しかありません。 トーア復元研究所ならそういったことも出来ますが、かなり割高なクリーニング代金になりそうです。
結論、ご依頼主は「今後のクリーニングについては、プリントが薄くなることを了承いただいた上で、ドライクリーニングする」ということになりました。 ちなみにリブを外さずに水洗いすると、リブ部分はウールなので縮んで固くなってしまい、もう元には戻らなくなります。 それはプリントが薄くなるより着用上の支障があることを思えば、ご依頼主の判断は賢明だと思われました。
こうしてプリントを再生した後のことには道筋が見えたので、いよいよプリントをやり直すことに集中できる環境が整ったのです。 では続きはまた明日の記事で。