ワイシャツの染み抜き
ご依頼主はクリーニング屋さん
今回は地元のクリーニング屋さんからのご依頼でした。 地元のクリーニング屋さん、とは言ってもクリーニング工場を5つも持っている「中堅会社」さんです。 その会社に「マネージャー」と言う肩書の女性が10名くらいいて、営業、スタッフ管理、そしてクレーム処理を担当されていて、トーア復元研究所には主にクレーム品のお直しのご依頼品を直接店舗までお持ちになります。 今回お持ちいただいたのは「ワイシャツのカフスのシミを取って欲しい」というものでした。 こちらです。
カフス部分を見てみましょう。
表側は何ともありませんが、裏返すと黒い点々としたシミがいくつも付いています。 ・・・・ これ、結論から言うと「腕時計のシミが移ったもの」です。 腕時計のバンド、特に金属製のものは、そのつなぎ目のすき間に汗や皮脂、その他の汚れが結構付着していて、それが衣類=腕時計に近い部分=カフスに移ってしまうのです。
ということはこれが「クリーニングに出す前は付いていなかった!」というクレームになるのもおかしな話なのですが、トーア復元研究所の仕事は原因の解明ではなく、「どのようにして元の状態に戻すか」なので、このシミを取ることが至上命題です。
ではこのワイシャツのカフスのしみ抜き工程をご覧に入れましょう。
染み抜き薬品の選定
まず、何のシミかを推定し、それに応じて薬品を決めます。 詳しくはこちら。
他の薬品も試してみる
シミを落とすために特定した薬品である程度落とせましたが、完全には取れません。そういう場合は薬品を変えてみます。 詳しくはこちら。
残ったシミは芯までしみ込んだシミ
薬品を変えても、それでもシミはうっすら残っていました。 その原因が「芯」にまでシミが付いていたことです。 詳しくはこちら。
芯に付いたシミを取る
こちらが、カフスをほどいて芯だけの状態にした写真です。 これならあれだけ頑固に付いていたシミも落とせるのです。
最後の工程はすすぎ
そして全ての染み抜き工程が終わった後に大事なことが「すすぎ」の工程です。 その理由がこちら。
縫い直して染み抜きの完成
こちらが完成したところです。 芯地までバラバラにしましたので、かなり大変な染み抜きとなりましたが、無事終わってホッとしました。