火事のスス汚れや臭いの除去のご依頼人からのお手紙やメールについて、お話ししましょう。 衣類を送ってくださるご依頼主は、火災という一生のうちで最大級のご不幸に遭われたわけで、その辛さは察するに余りあります。 しかしその辛い状況下でも、スス汚れ除去の依頼を引き受けた私に対して、深い感謝の意や仕上がりに対するお心づかいをして下さるご依頼主は多いです。 私としては、ご依頼主はお客様のようなものである上、仕事でやっていることですから、こちらの方が低姿勢で当たり前であるはずなのに、「他ではみんな断られてしまって・・・受けて頂けただけで、救われた思いです!」のように言って頂けるのは、仕事として携わる以上に強い責任感を感じるばかりです。 これはある意味、お医者さんと似た感覚かも知れません。 難病にさいなまれている方が、あちこちの病院を断られ、やっと引き受けてくれたお医者さんに、まだ治せるか分からないにもかかわらず、深く感謝する・・・そういうことはあると思います。 これと同じように、誰でも、ある特定の衣類に対しては「同じような気持ち」を持っているのではないでしょうか?
「火災で着れなくなった衣類を、また着れるようにする」。
火災に遭った衣類のスス汚れ、臭い除去という仕事って、とても掛け替えのない仕事なのだと、ご依頼主のお手紙やメールを拝見するたび、私は痛感するのです。 では、次回からいくつかの、そういうお手紙やメールをご紹介しましょう。
裏話 5
202311/26