では、取り外していたプリントがされていた生地を、モンクレールのダウンジャンパー本体に縫い付けて完成したところをご覧ください。
白いダウンジャンパーに真っ黒いプリント文字がとても冴えてキレイですね。 近寄って細部を見てみましょう。
プリントもしっかりくっついています。 プリント作業時に熱や圧力、圧着時間などが足りないと耐久性に乏しくなるので、その点はプリント担当も大変神経を使って作業しています。 さて、こうして無事、プリントを直したモンクレールのダウンジャンパーはご依頼主へご返送となりました。
プリントは今回のようなものは「ラバープリント」と呼ばれ、薄いゴムのシートをくり抜いて、それにノリを付けて貼り付けています。 他にもプリント方法の違いによってシルクスクリーン、昇華転写、インクジェットなど、実にさまざまなプリントがあり、ご依頼主のご要望により(つまり剥がれてしまったプリントの方式により)、それに適したプリントで対応せねばなりません。 そこで最もネックとなるのが「発注数量」です。 トーア復元研究所にご依頼いただくご依頼品は「洗ったら思わぬ結果になった衣類を復元する」という企業理念から、当然、発注数量は「1着」です。
ところが衣類に行うプリントは、ほとんどが「大量ロット数の衣類」を想定して作られているので、同じプリント方式で復元しようとすると、コスト的に全く合わない状況となるのです。 ですから普通、クリーニングや今回のように着用による摩擦で剥がれたプリントを直すとなると、多くの業者が「たった一着では対応できません」と断られるところをトーア復元研究所のノウハウで安価に実現していることで、今回のようにご依頼主のご希望にお応えできる品質と値段が実現できるのです。 今後もさらにいろいろなプリント方式にも「ご依頼主の大事な一着のため」に対応できるノウハウを開発せねばなりません。
ではまた次回。 別のご依頼品をご紹介いたします。