今回は都内の個人のご依頼主からのご相談でした。 お問い合わせは最初、メールでのものでした。
衣類の縮直しをアイロン成形で行う
最初のご相談からご依頼品の送付、状態確認まで
「 池森様
5年ぶりの問い合わせです。
10年前のジルサンダーのウールコートが伸ばせるかご確認いただきたいのですがお願いできますか?
まずは可能か検証いただきたく、送付いたしました。
可能であれば
・クリーニング・肩パッド外し上記もお願いしたいです。
お見積もりよろしくお願いいたします 」
5年前にご相談いただいたご依頼主とのことですが、私はすっかり内容を忘れておりました。 「どうぞ送ってください」とご返信したところ、早速届いたのがこちらです。
開けてみましょう。
見た感じでは縮みは分かりませんが、広げて手に取ってみたところ、かなり固くなっているのが分かりました。 ではその縮み直しの工程を順にご説明しましょう。
フエルト化の状態と復元の可能性を予想
ウールの固さである程度修復可能性を判断します。 その後、それを元にテストしご依頼人に予想される復元結果をご提示し、それによって正式にご発注になるか、ご検討いただきます。
実際の縮み直しの作業工程
そして正式にご発注いただいたら、続いて縮み直しの成形作業に入ります。 洋服の縮みの状態やデザインによって、別途リスク説明が必要な場合もあります。
今回の縮みの原因は家庭での洗い方に問題があったことによります。 よく、「ドライマークが洗える洗剤」を使って、洗濯機の「ドライコース」で洗ったのに、縮んでしまった・・・というご相談を受けますが、私はよく、「ならその洗剤メーカーに苦情を言ってみては?」と聞いてみると、そうはしない方ばかりです。 理由はもしかすると、「ちゃんと説明書通りに洗っていなかった」ということなのかも知れません。 逆にちゃんと説明書通りに洗うということは、大変面倒な作業になるからかも知れません。
またネット上でよく見かける、「濃いめにトリートメントを溶かした水に浸せば直る」という方法も、縮みの具合が相当軽い場合にしか役に立たず、ほとんどは「やってみたら、余計縮みがひどくなった・・・」という結果となるようです。