ヘルノの破れたラベルの修理
ご依頼主は千葉県のクリーニング屋さん
今回は千葉県のクリーニング屋さんからのご相談でした。 「洗ったらヘルノのダウンジャンパーに付いていたラベルが割れてしまったんですが、直りますか？」というお電話の後、ご依頼品が到着しました。
開けてみましょう。
紫色のヘルノのダウンジャンパーです。 このトーア復元研究所のサイトでも何度も登場したヘルノのダウンジャンパーシリーズですが、今回もこれまで同様、直す工程をご紹介していきましょう。 まずは今回のご依頼品の割れたラベルの様子を詳しくお見せしましょう。
ラベル剥離の状態を見る
今回のヘルノのラベルの破損状態がこちらです。 紙が貼られていて見えませんでしたが、剥がしてみるとかなり重症です。 では、ラベルの剥がれ方のパターンをいくつかご紹介し、それぞれ直す上での解説をしていきます。
ラベルが全て剥がれてしまっているケース
これは、当初ヒビ割れだけだったラベルをそのまま着用、クリーニングを続けていた結果、ラベルの樹脂がほとんど全部取れてなくなってしまったパターンです。 このようなケースでもトーア復元研究所の方法であれば元通りに直すことが出来ます。
ヒビ割れただけのケース
ヘルノのラベルが破れる場合に、初期の段階がこれです。 ご依頼主の中にはこの段階だと割れていることに気づいていない方もいらっしゃるほどです。ですが、この状態を放置すると必ず部分的な欠損が始まり、いずれ全部無くなってしまう・・・という経過をたどっていきます。
ラベルの一部だけ無くなったケース
これが一番ご依頼いただく中では多いパターンです。 全体の３分の１や４分の１だけ樹脂が無くなっていることが多いです。 このレベルになって初めて「あぁ！！ ラベルが破れた！」と気が付く方も多いと思います。
縫製担当と打ち合わせ
ラベルを直すためには、ヘルノのダウンジャンバーから一旦ラベルを取り外す必要があります。 そこで縫製担当と打ち合わせしているのがこちらです。 ここで「裏地がある場合」と「裏地が無い場合」で縫い付け方法が変わります。 それについて簡単にご説明しましょう。
裏地があるケース
裏地がある場合は、ミシンで裏地にラベルを縫い付けますので、別段難しい点はありません。 もちろん、メーカーのヘルノでも同様の縫い付け方をしています。
裏地がないケース
裏地が無い場合、ミシンでそのままラベルを縫い付けようとすると、ジャンパーの背中にミシン糸が飛び出してしまって、ラベルの形どおりの四角いミシン跡が出来てしまいます。 そこでどうするかと言うと・・・
その場合はミシンは使わず、手縫いでジャンパーの内側の生地をすくい上げるようにして縫うことで、背中まで糸が飛び出さないようにします。 これにもいくつかの工夫がありまして、具体的なことは実際に「裏地無しのヘルノ」のジャンパーをご依頼になられた方に尋ねられた場合はご説明しています。
ラベル縫い付けの完成
こちらが修理したラベルを縫い付けて完成したところです。 手縫いとは言っても、それがほとんど分からないように縫い付けられているのをご覧ください。
