私は「それは火災に遭ったご依頼主が、スス汚れや臭いを取って欲しい、ということで送ってこられたものです」とご説明すると、「へぇぇ・・・・」と感心されたご様子・・・ 「臭いがすごいので、こうやって厳重に袋に入れていますが、作業すると、そのままハンガーに掛けておいても気にならないレベルまで臭いが取れるんです」と私は説明しました。 クリーニングワンダフルの店舗内で垣間見たトーア復元研究所の多様なご依頼品の数々は、クリーニング屋さんという範疇とはかなり逸脱して感じられたことでしょう。
実際、火災の煤汚れや臭いを取っている、と言うと、「火災に遭った洋服のクリーニング屋さん」と思われますし、コートの袖ベルトが無くなった、というご依頼主に袖ベルトを作って差し上げると、「ベルトを作る会社の人」と思われます。 が、トーア復元研究所の仕事は「あらゆる衣類について、ダメになった状態のものを元に戻す」ことが本来の仕事であり、衣類に関してはほとんど全てが本業の範疇に入るのですが、そのように理解して下さっているご依頼主はまだ少数派なのです。