びしょびしょに濡れていたため、外に干していたスス汚れのご依頼品。
私がびっくりしたのは、干していた服の横を通り過ぎようとした人が、立ち止まってこの衣類をしげしげ見たり、手に取って臭いを嗅いだりしていたことです! それも一人や二人ではなく、何人もの人が同じような行動を取っては立ち去っていくのです。 私は研究所のスタッフと、「一体なんであんなに触ったり臭いを嗅いだりするんだ??」と不思議に思っていました。 ちなみに干しているハンガーラックには大きな手書きポスターで「火事に遭ったご依頼主の衣類のため、臭いがひどいです。 ご容赦ください」を書いてあります。 これは、トーア復元研究所の前にススの臭いがひどい衣類を干していたりしたら、「ここで洗ったものが、こんなひどい臭いになるのか?」と思われたりしたら困るので、「これは火事に遭ったお客様の衣類で、トーア復元研究所がその臭いを除去しようとしている」ことを分かってもらうために書いておいたものです。
半日ほどが過ぎ、干している服の横を通り過ぎる人が、入れ代わり立ち代わり手に取っては臭いを嗅いでいる様子を不思議そうに見ていた私たちは、さらに驚くことになったのです。 それはまたもや衣類を手に取って臭いを嗅いでいた一人の人が、ドアを開けてトーア復元研究所の所内に入ってきたからでした。 そしてその人は・・・・(つづく)