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剥離したプリントを直す 工程その3 完成
プリントを貼り付け直したら、新品同様に
では、新しいプリントを貼り付け直したところをご覧ください。
黒地に真っ白な文字がとても映える素晴らしい出来栄えです。 このように剥離したプリントを新しいものに貼り変えると、衣類全体が新品になったように見えるから不思議です。 出来上がったジャンパーはさっそくご依頼主へご返送しましたが、大変喜んで頂けました。
プリント衣料の良さは何と言ってもデザイン性の高さです。 刺しゅうやパッチワークでは、どうしても今回のようなロゴは再現性に劣ります。 一方、デメリットは今回の事故に象徴される「寿命と耐久性の低さ」と言えます。 大方のプリント製品は1年から2年で寿命が来て剥離が始まると言われます。 さらに着用状態やクリーニング方法によっては、さらに寿命が短くなりますから、衣類に用いられる技術としては、ちょっと難あり・・・と言わざるを得ません。 ですが、昨今、衣類製造のコストダウンの要請も強く、比較的施工費用が安いプリントは今後も需要増が見込まれます。 その反面、衣類の販売店で、「プリント製品なので、寿命は2年程度ですよ」と言って販売されているものは少ないです。 そうなると今回のようなクリーニング事故が起こると、どうしてもクリーニング業者が弱い立場になってしまうのも事実です。 トーア復元研究所としては、「半永久的に剥がれないプリント」が開発されるのを望むばかりですが、それが実現されないうちは、「いかに安価に剥がれたプリントを復元するか」の技術向上に腐心するよりありません。
ではまた次回。別のご依頼品をご紹介いたします。