洋服に縫付けた革からの色移りを染み抜きで取る
最初のご相談からご依頼品の到着、状態の確認まで
最初のご相談はお電話かメールでお問合せいただきます。 染み抜きの可否について見解をご説明しますので、ご理解いただいた上でご発送になれます。
染み抜きの作業工程の開始
打ち立てた方針のもと、染み抜き作業を開始します。 上のリンクからその様子をご覧いただけます。
染み抜き作業の後半工程。最後に乾燥。
染み抜き工程は何種類かに分けて行われます。 最後は日陰干しにて一晩乾燥します。
最終仕上げ工程からご返送まで
乾燥後、問題なければ仕上げ工程を行って完成となります。では翌日、乾いたところをご覧ください。
すっかり色移りは取れています。 では最後にアイロン掛けをしながら、最終チェックしていきましょう。
特に問題はありませんでした。 出来上がりです。
今回、一番難しかったのは、染み抜きの過程で新たに色が出てこないようにすることでした。 かように大変色の出やすい合皮だったのですが、これを普通にクリーニングしたら、どうやっても今回のような事故になると思われます。 今回のご依頼主以外のクリーニング屋さんはどうやって対処しているのか、大変興味あるところです。
今回、革から色落ちしてしまったことで、染み抜きのご相談を受けたわけですが、そもそも皮革製品というものの「染色」がクリーニング工程と照らして不適切だとこのような事故が起こります。 ではその皮革製品の染色にはどのようなものがあるでしょう?
皮革製品の染色は、布製品とは異なり、染料液に漬け込むのではなく、表革や裏革に染料を塗り込む方法で加工されます。染色方法は、染色仕上げと顔料仕上げの2種類があります。染料仕上げは、染料を使用して革の繊維を染め上げる方法です。顔料仕上げは、革の表面に顔料を塗布して染め上げる方法です。染色方法は、求める革製品の雰囲気や、見た目、使い方などによって異なります。染色方法の例をいくつか紹介します。アルコール染料、カービングダイ、ローパスバチック、スピラン染料、WA染料。染色の仕上げには、バインダー、レザーライト、レザーフィックス、ワックス、レザーコートなどがあります。
問題は、それらの内容が衣服の洗い方表示には一切記載されない、ということです。 クリーニング業者は独自の経験などに基づいて皮革製品が縫い付けられた衣類のクリーニングをせねばならず、同様なケースは衣類に縫い付けられたボタン、合皮、スパンコール、メッキ製品・・・と枚挙にいとまがありません。 その点、奇抜なデザインで購入に結び付けたいメーカー側とそれら製造段階のデータが得られないクリーニング業者の間の溝が深い一因でもあるのです。