では、別件のご依頼での作業前点検、作業工程、出来上がりについて、順にご説明していきましょう。 まずはご依頼品が到着したところからです。
今回のご依頼品は14点入っていました。 梱包を開けてみて、順にご依頼品を見てみましょう。
素敵なドレスですが、火災特有の茶色いシミが付いています。 幸い、素材が化繊なので、これはかなりキレイに取れそうです。 では、ご依頼品それぞれについて、詳しく状態を説明した内容をそれぞれご紹介しましょう。
①レースのドレス
こちらは、胸がレース、スカート部がベルベットという大変高価そうなドレスです。 詳しい状態説明はこちら。
②茶色のコート
こちらは他社にまず依頼されたようで、「臭い、スス除去は不可」の手紙が付いていました。 詳しい状態説明はこちら。
③黒い本革付きのコート
こちらは襟に「本物の毛皮」が付いているコートでした。 詳しい状態説明はこちら。
④白い生地と黒い生地をあしらったワンピース。 特に白地にスス汚れがひどいケースです。 詳しい状態説明はこちら。
⑤ピンクのワンピース。 こちらはポリエステル製だったので、比較的スス汚れが取れやすいケースでした。 状態説明はこちら。
⑥プリント柄のワンピース。 一部のプリントが熱に弱く、色がにじんでくるというケースです。 状態説明はこちら。
⑦全体総レースのワンピース。 レースにスス汚れが付いていると難題です。 詳しくはこちらをご覧ください。
⑧全体プリント柄のワンピース。 こちらは幸いプリント柄から色が出ない染料が使われていました。 詳しくはこちらを。
⑨ルイヴィトンのスカーフ。 こちらは重症でした。 詳しくはこちらをご覧ください。
さて、ここからは、上記のご依頼品の実際の作業工程をご説明します。
〇レースのワンピース
レース部分のスス汚れは除去が大変難しい作業です。 実際、煤汚れがひどい場合、この作業工程のように大変「泡」が出ます。 激しい化学反応を起こしていることが分かります。詳しくはこちらをご覧ください。
〇ピンクのスパンコールやビーズが付いたドレス
このようにスパンコールやビーズが付いていると、強い薬品に対する耐久性が無いとススや臭い除去の効果が極めて低くなる欠点があります。 詳しくはこちら。
〇プリント柄のワンピース
こちらは赤色のプリントから色がにじんでくることがテストで分かったので、薬品の濃度や温度を調節して色がにじまない範囲で作業しました。 詳しい作業内容はこちら。
〇白地と黒地の合わさったワンピース
煤の除去を行う上で一番厄介な部類のデザインがこうした「濃淡の極端に違う色の生地同士を縫い合わせた衣類」です。 もちろん強い薬品は使えませんから、弱い薬品で出来る限りの処理を行います。 作業内容はこちら。
〇ルイヴィトンのスカーフ
わずかに煤の臭いが付いてしまったルイヴィトンのスカーフ。 水洗い禁止のこのスカーフを、水溶性の薬剤でススの臭い除去をするので、見た目は「水洗い」したのと同じに見えますが、トーア復元研究所なら水洗い禁止の物も水洗い工程で対応することが出来ます。 作業工程はこちらをご覧ください。
〇乾燥工程
作業後の、ご依頼品を乾かしている工程をご覧に入れましょう。完全に乾いてみないと臭いなどがどれだけ取れたか分かりませんので、一晩干して様子を見ます。 作業工程をこちらでご紹介しています。
〇アイロン仕上げ工程
一点一点、最中チェックを兼ねてアイロン仕上げしていきます。作業工程はこちら。
〇ルイヴィトンのスカーフの仕上げ完了
ルイヴィトンのスカーフの最終工程をご説明しています。 詳しくはこちら。
〇毛皮のついたコートの仕上げ完了
こちらは本革の毛皮が付いたコートの最終工程をご紹介しています。 詳しくはこちらをご覧ください。
〇ピンクのレース付きワンピースの仕上げ完了
こちらは化繊だったこともあり、ススの臭いも汚れもよく落ちました。 詳しくはこちらを。
〇プリント柄のワンピースの仕上げ完了
こちらも化繊だった上、プリントの染料がとても薬品に対する耐性が強く、結果とてもきれいな仕上がりになりました。 作業完了時の状態はこちらをご覧ください。
〇白と黒の合わせ柄のワンピース
白時にかすかに煤汚れが残ったケースです。 作業完了の様子はこちらでご覧になれます。
〇レースと黒地のワンピース
こちらは当初レースにスス汚れがひどく付いていた状態でしたが、大変キレイに取れました。 詳しい内容はこちらをご参照ください。
〇紫にレースを縫い付けたワンピース
こちらも化繊で非常にスス汚れが取れやすいものでした。 その出来上がりをご覧ください。→こちら
〇今回のご依頼品の火事の煤除去、臭い除去についてこちらに作業全般に関してまとめました。 是非ご覧いただいてご参考にして頂ければ幸いです。