問題の合皮パイピングの剥離部分がこちらです。 実に多くの部位に合皮が使われているので、それぞれ近寄った画像をご覧に入れましょう。
もう全体的に合皮が剥がれてしまっています。 通常、劣化で合皮が剥がれる場合、着用中に摩擦されやすい部分を中心に剥がれていくものですが、このように全体まんべんなく剥がれる場合というのは、もしかするとクリーニング中の、例えば乾燥工程で高温で長時間回転させたことなどが原因という可能性が高いです。 通常、ドライクリーニング可能な合皮であっても、「乾燥機不可」となっている筈なので、それを乾燥機にかけてしまったとすると、このような状態になっても不思議ではありません。 でもまだ合皮が新しいときは乾燥機に入れても大丈夫だったりしますから、ある程度合皮の寿命が近づいていたのが原因の一つにはあるでしょう。 いずれにしても、クリーニング後にこういった状態になると、当然お客様からは「クリーニングのやり方を失敗したから、こうなったんだ!」と言われてしまいますから、今回ご依頼主がトーア復元研究所へご相談いただくことになった経緯も仕方のないことだと言えます。
ですが、トーア復元研究所の仕事は、トラブルになった原因を突き止めることではありません。 「何とかしてこの状態を元に戻す」ことです。 では次回から、このディーゼルのジャンパーの剥がれた合皮パイピングを直す工程をご覧に入れましょう。